現代は、停止できない重要な設備が多く、その点検や工事の際、停電が出来ない場合も多々有ります。
やむなく「活線作業」あるいは「活線近接作業」を行う場合が有りますが、この活線作業自体は、法律では禁止されていませんが、労働安全衛生法で、危険な作業に指定されており、電気の特別教育を受けたものでなければ活線作業をしてはならないことが定められています。
これが意外と知られていないのですが、例え電気主任技術者や電気工事士の資格を持っていても、活線作業にあたり、この電気の特別教育を受けてからでないと違法になるのです。
この記事では、電気の特別教育について記事にしています。電気の工事時や保全関連に携わる方々には是非読んでおいて欲しいです。
活線作業は電気の特別教育を受けないと、感電の危険と法令違反、避けて通れない活線作業
電気工事免許があれば、資格の範囲ならどんな電気工事でもできるのか?
電気工事士法では、そうですが、電気工事でありがちな、『活線作業』、つまり、電圧がかかった状態での作業で、『感電する危険が有る』工事場合は別です。
電気工事は、基本は感電事故が起きないよう、工事範囲を停電するのが基本ですが、実際には、そうはいかない場合が多々あります。
そこで、電気は生きたまま工事する必要が出てきますが、法律では、この『活線作業』自体は、禁止していません。
ただし、危険な作業として登場してくるのが、『労働安全衛生法』です。
危険な作業はやってもいいけど、ちゃんと特別教育を受けてください!っていう法律です。
安全衛生教育
業種・職種・雇用形態などにかかわらず、事業者は、労働者を新たに雇い入れたり、その作業内容を変更したときは、遅滞なく、安全衛生教育を実施しなければなりません(労働安全衛生法第59条第1項、第2項)。出典: www.mhlw.go.jp
電気の特別教育

労安法に基づき行う電気の特別教育のイメージ
労働安全衛生法の基づく、電気に関する特別教育について
感電する可能性のある作業は『危険作業』
特別教育
危険・有害な業務に労働者をつかせるときに事業者が行わなければならない教育です。教育の内容は法令で定められており、教習科目について十分な知識、経験を有する者が講師となって行う必要があります(昭和48年3月19日付け基発第145号等)。
事業者は外部機関が実施する特別教育を受講させることができますが、外部機関は特別教育を実施するのに当たり各都道府県労働局の登録を受ける必要はありません。
教育を実施している機関については、一部の都道府県労働局において、ホームページやパンフレットで紹介している場合があります。出典: www.mhlw.go.jp
つまり、電気作業の場合、感電して事故になる可能性がある電気工事作業が有る場合、それに従事する作業者は、労働安全衛生法に基づき、電気に関する特別教育を受けなければなりません。
特別教育を必要とする電気業務
- 高圧若しくは特別高圧の充電電路若しくは当該充電電路の支持物の敷設点検、修理若しくは操作の業務
- 低圧の充電電路の敷設若しくは修理の業務又は配電盤室、変電室等区画された場所に設置する低圧電路のうち充電部分が露出している開閉器の操作の業務
電気の特別講習は、低圧と高圧・特別高圧の2つが有る
労働安全衛生法に基づく電気の特別教育は、
①低圧電気取扱者
②高圧・特別高圧電気取扱者の2つがあり、受講すると修了証の交付を受けられます。
- 高圧・特別高圧講習は2日間、学会11時間、実技1時間と決まっています。
- 低圧講習は1日間で、学科7時間、実技1時間です。
低圧の充電電路の敷設若しくは修理の業務を行う者は、別途6時間の実技講習が必要です。
注意が必要なのが、『高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育』を受講し終了証を持っているから、『低圧電気取扱者安全衛生特別教育』は受けなくて良いかというと、違います。
低圧を扱う場合は、高圧・特別高圧を持っていても、別途低圧の講習も受講してください。
電気特別講習の実施機関は、自社教育でもOK
電気の特別教育講習は、色々な機関で実施されています。
Web上でも受講が可能です。
しかし、何と、法令に基づいてキチンと講習を実施すれば、自社内でも実施可能で、自社で社員に発行した修了証も法的に有効です。
(講師には、教習科目について十分な知識、経験を有する者が講師となって行う必要がある…となっていますが、具体的には曖昧な感じです)
低圧の学科講習はまだしも、高圧・特別高圧の実技講習はちょっと困難かと思います。やはり外部講習の受講をオススメします。
講習費用は、主催者によってマチマチですが、高圧・特別高圧が20,000円前後、低圧は10,000円以下です。
また低圧の実技講習は、12,000前後くらいになっています。
もちろん、低圧の特別講習ならば、テキストは販売されていますし、自社の電気主任技術者が講師になってで実施すれば、費用は無料でしょう。
電気の講習講習(雑談)
私が受講したときは、実習は電力会社でした。
電力会社社員の実習用施設での実習でしたから、設備は充実してましたし、指導員は電力会社の新人等を指導している方でしたから、とても参考になりました。
この講習は、キチンと受講していれば、修了証を貰えます。試験も有りません。
ただ、この講習会、私が居たビルメン会社の場合、受講費用が出なくて、資格手当対象にもなっていない状態でした。
そこで、オーナー会社の担当者から『電気の特別教育受けてくださいね~』って言ってもらったので、講習参加は一発OK、出張扱いで費用全額会社負担で講習会に参加できました。
活線作業は電気の特別教育を受けないと感電の危険と法令違反、労安法のその他の危険作業

労働安全衛生法には、危険作業が指定されている
電気の特別教育以外に、労働安全衛生法には、危険作業として41種類もの作業が指定されていて、特別教育が必要なものが多数有ります。
ビルメンの配属策によっては様々な安全教育の受講が必要な場合がありますが、電気だけは教育が実施されてない場合が多いのです。
また、電気主任技術者になってから、工事立会をすることになった時、工事会社の作業員は、この労働安全衛生法に基づく電気の特別教育を受けている事を確認すると良いでしょう。
まれに、存在すら知らない工事会社が有りますから驚きです。
電気工事は、電気工事士免状だけでは不十分で、電気工事士、認定電気工事士、電気の特別教育修了証の3つを揃えましょう。
ビルメンこそ、法令遵守を心がけるのが大事です。
活線作業は電気の特別教育を受けないと、感電の危険と法令違反 まとめ
・労働安全衛生法で定められた、電気の危険作業として定められた特別教育は、次の2つ
- 低圧電気取扱者
- 高圧・特別高圧電気取扱者
- 充電部への接近を含めて、感電する可能性のある作業をする場合は、電気の特別作業を受けなければならない
- 高圧・特別高圧電気取扱者の教育を受けても、低圧電気取扱者の教育を受けたことにはならない。(それぞれ、別々に受講しなければならない)
最後まで読んで頂いてありがとうございました。